諫早湾干拓野菜が生まれた場所を訪ねて

諫早湾干拓野菜をめぐる記録

長崎空港を出ると強い風が出迎えてくれる。
台風は過ぎ去ったものの、台風一過の晴天とはいかず、曇天の空模様。

 

空港から向かった先は、車で30分のところにある諫早市。
県下で3位の人口を擁する町である。
この町にあって他にはない特徴となっているのが、有明海を臨む諫早湾の干拓地だろう。

 

ひと言で干拓地と言っても、そのイメージはさまざま。
身体をくねらせ跳ねるムツゴロウを思い出す人もいるし、ぬかるんだ泥が出てくる人もいる。
同行してくれた方は、この干拓地の起こりについてこのように語った。

 

「この地もかつては水没したこともありました。山に囲まれた地形のため昔から雨が多く、洪水や豪雨の被害も甚大な場所だったんです。そういった自然災害の対策として干拓事業が行われてきた経緯があり、農地として募集をかけるまで数々の壁がありましたね。」

 

そして、この場所が2008年3月に農地として生まれ変わったのである。
それには、地形的に平坦な農地が少ない長崎県にあって、大規模な農地をつくるという目的があった。
2007年の夏に営農者を公募し、選考の結果、16法人と25個人の計41経営体がこの場所で野菜・飼料作物などを作ることになったのである。

 

 

干拓農地が誇る特色、海の大地が宿った土地

現場に下り立つと、まず見渡す限りの畑に圧倒される。
造成された面積にして約950ha、東京ドーム201個分というから完全に想像を絶する広さだ。

 

緑に染まった視界、その端にそびえ立つ雲仙の姿を捉える。
台風通過後だからか、吹きすさぶ風の強さがこの場所が海の近くであることを思い出させる。
この干拓地を写した空港写真を見れば、区画整理された広大さは一目瞭然だ。
法人経営体の平均作付面積は30haで、北海道の十勝のファームと比肩するという。

 

さっそく近くの畑へと足を運ぶ。
海底土を干し上げたという土は、見るからに他とは違って白っぽさが強い。
許可を得て触らせてもらうと、粒子が細かくサラサラしているのがわかる。
その土地の所々に白く光るものがあり、近づいてみると貝殻の残骸であった。

 

それは、この干拓地に大きなものをもたらした証でもある。
生産者が口を揃えて語る、「カルシウムやマグネシウムといったミネラル分が多く含まれていることで、甘みが増した」とい野菜が生まれる原動力となったものだ。

 

そして、農地そのものの履歴が少ないことで、地力(土地の持っている力)が強いということも挙げられる。
ここは灌水設備のインフラが完成しており、排水面でのコントロールも徹底されている。
それにより、さらに土の力が増していくのだ。

 

あちこちの畑で、いくつものファームが様々な作業を行っている。
収穫を行っているところもあれば、作付作業など徹底したスケジュールに沿って動いているところもある。
それぞれの畑を訪れて、生産者の方々にこの干拓地で農業を行うことや、農業に対して抱いている想いを尋ねてみた。

 

 

太陽と海の恵みがもたらした宝石のような野菜との出会い

 

それぞれの生産者の方から収穫した野菜を提供して頂き、料理してもらうことに。
鮮度の高さと、野菜そのものの旨みが合わさり、シンプルな料理で十分にその味が引き立っていた。
ほうれん草などは、初めて味わうような歯応えであり、一般的に市場で出回っているものとの明確な違いが分かった。

 

短い時間の間に、生産者の方々の話を伺うことができた。
同じ干拓農地で農業を営むという点で共通はしているものの、営農スタンスはまさにそれぞれである。
これから困難な状況が立ちはだかることが幾度となくあるかもしれない。
農業とはそういうものでもある。
彼らなら、農業に対する情熱が誰よりも強いこの人たちなら、どんな事態であろうとも切り拓いていくことだろう。

 

干拓地を農地にする。
それだけでなく、日本一とヨガれる野菜をそこで作る。
たくさんの人の夢や想いを乗せたその物語はまだ始まったばかりではあるが、やがて誰もがそれを認める時がくるだろう。

 

訝しく思う人は、長崎空港に飛び、諫早へ移動し、干拓地を訪ねてみればいい。
その理由がそこにはあるから。
太陽と海の恵みがもたらした宝石のような野菜との出会いがそこにはあるから。

 

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