干拓地の中に家を建てた男

干拓地の中に家を建てた男

荒木一幸さんが干拓農地のリースに応募したきっかけは、父親にまかせられたことがきっかけだった。
熊本県天草に本社を構えるアラキファームが規模拡大を検討していた時、荒木さんは社長である父親に「俺にやらせて」と申し出た。
それまで農業を7年ほどやっていたものの、当時はそこから離れて長距離トラックの運転手などをやっていた。

 

荒木さんは、不退転の決意で再び農業の世界へと戻る。
ここでは、キャベツや白菜、カボチャを育てている。
訪れた時はちょうどキャベツの作付時期で苗を植え始めたところだった。

 

熊本から単身赴任だったが、干拓地内に家を建て、妻と子供を呼び寄せた。
農業をやるならば作物の近くにいないといけないという持論を持つ彼にとっては当然のことだ。
この地は本社ファームの3倍もの耕地面積であるという。

 

「それでも機械導入がスムーズにできるので、作業効率はこちらの方が優れています。ただ、昼夜の温度差からくる寒さや風の強さにはかなり苦労していますね。」

 

アラキファームも若い従業員が増えた。
その中には前職が自衛隊だった20歳の男性も。
同じ年代だから農業に従事していた荒木さんは、自分が通過してきた道を彼らに見ているのだろう。
だから、年齢関係なく積極的に仕事をまかせている。

 

「自分が上から色々と言われるのが好きじゃないですからね。支持は出しますが、それ以外はまかせています。きちんと頑張った使徒にはそれなりの給料をあげるようにしています。」

 

将来への投資としてさらなる大規模化の為に設備投資もした。
かけた金額をきいて驚いてしまったが、「自分は機械の作業が大好きなんですよ」と、まるで少年のように目を輝かせていた。
彼の夢はこの干拓農地で花開くだろう。