農業に対する謙虚さ

農業に対する謙虚さ、それゆえの葛藤

秋冬はレタスを、春にばれいしょを栽培する松山ファームの専務が発した、「農業は毎年1年生だからね」という言葉。
それがいつまでも心に残っている。
簡潔な言葉の奥に、計り知れない苦労や努力の跡が見えた。

 

干拓地初粘土は手探りの状態で作付から収穫まで行ったが、あまりの広さゆえ作業が後手に回るなど反省点も多かったという。
そして上記の言葉を松山さんは口にした。
13年も農業に携わってきた今もなおその思いを強くする松山さんは、「農業の本当のプロになりたい」と真摯に語った。

 

同時に、30名弱という多数の従業員を抱える経営者として、現在の農業に対する注目の高さを憂いでもいた。

 

「不況だから注目されている面もあるけれど、農業はそんなに簡単なものじゃない。それなのに、スーパーなどでは価格が安いことが当たり前のようになっている。そんな風潮は自分の首をしめるだけでしかないのに」

 

血のにじむ思いをして野菜を作ったところで、二束三文の値段になることもある。
そんな日々を経験してきたからこそ、痛感していることでもある。

 

「僕は諫早をレタスの産地と言われるくらいにしたいです。よく言われるんですよね、”日本に本物のレタスの産地はない。産地まがいならあるけど”って。だったら諫早をそう言わせたいじゃないですか」

 

松山さんの静かな決意だ。
高い理想を掲げ、美味しいレタスを作りたいと願い、努力を重ねながらも彼は冒頭の言葉へと返っていく。

 

農業に関しては、去年の収穫が良かったからといって。今年も良いとは限らない。
それは諫早であっても例外ではない。
それでもなお、松山さんは諦めることはない。
それが、彼の思い描く「農業の本当のプロ」でもある。